(事業の趣旨)
ハインリッヒの法則によると、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故災害と300の無傷害事故があり、さらにその背後には数千の潜在的なトラブルがあるとされている。重大事故が発生する前に、軽微な事故災害や潜在的なトラブルをひとつひとつ潰していくことで重大事故に至らないようにする考え方から、多くの組織でヒヤリハット事象の報告と共有が行われるようになった。放射線施設における重大事故を、放射性同位元素等規制法施行規則第28条の3で要求される報告対象の事故等と定義すると、それに至らなかった事故やトラブルが軽微な事故災害や無傷害事故に当たると考えることができる。法令報告となった重大事故の情報は原子力規制委員会により公開されていて、誰でも知ることは可能である。しかし、それに至らなかった数多くの事象を知るのは難しい。軽微な事故からヒヤリハットまで法令報告に至らない事象の情報を全国的にとりまとめる仕組みが必要であり、その中から各施設が効果的と考えられる事象を選んで教育訓練の際に使えれば、本質的な安全の向上に繋がる。