父に叱られたことが一度だけある。父に叱られたのは後にも先にもその一回( 25 )だったので私の中で今でも忘れ( 26 )思い出になっている。あれは私が中学校の二年生になった春のことだった。私は姉に憧れてバレーボールを始めたが、才能も無く一度も試合に出られなかったため、練習も休み( 27 )になってしまっていた。そのことを父に注意された私は「どうせ続けても試合には出られないし意味無いよ」と父に言った。すると、いつもは静かな父が大声で「最後まで( 28 )ことは無駄にはならない。途中でやめるから無駄になるんだ。」と怒った。私はその日から、毎日 練習に行くようになった。練習を続けても( 29 )が、とにかく続けた。そしていよいよ最後の試合。私は初めて出場することができた。自然に涙が出たのを覚えている。その日に試合を見に来ていた父は( 30 )な顔をしていた。
【ちち】に【しか】られたことが【いちど】だけある。【ちち】に【しか】られたのは【あと】にも【さき】にもその【いっかい】( 25 )だったので【わたし】の【なか】で【いま】でも【わす】れ( 26 )【おも】い【で】になっている。あれは【わたし】が【ちゅうがっこう】の【にねんせい】になった【はる】のことだった。【わたし】は【あね】に【あこが】れてバレーボールを【はじ】めたが、【さいのう】も【な】く【いちど】も【しあい】に【で】られなかったため、【れんしゅう】も【やす】み( 27 )になってしまっていた。そのことを【ちち】に【ちゅうい】された【わたし】は「どうせ【つづ】けても【しあい】には【で】られないし【いみ】【な】いよ」と【ちち】に【い】った。すると、いつもは【しず】かな【ちち】が【おおごえ】で「【さいご】まで( 28 )ことは【むだ】にはならない。【とちゅう】でやめるから【むだ】になるんだ。」と【おこ】った。【わたし】はその【ひ】から、【まいにち】【れんしゅう】 に【い】くようになった。【れんしゅう】を【つづ】けても( 29 )が、とにかく【つづ】けた。そしていよいよ【さいご】の【しあい】。【わたし】は【はじ】めて【しゅつじょう】することができた。【しぜん】に【なみだ】が【で】たのを【おぼ】えている。その【ひ】に【しあい】を【み】に【き】ていた【ちち】は( 30 )な【かお】をしていた。