UTokyo noneq seminar & IPB seminar (作道直幸氏, 3/25(木), 10:30-) Registration form
東京大学 竹内研究室主催で、下記のオンラインセミナーを開催いたします。奮ってご参加ください。なお、本セミナーは、新学術領域「情報物理学でひもとく生命の秩序と設計原理」が主催するIPBセミナーシリーズの一環として、共同開催となります。セミナーは日本語で行われます。

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The following online seminar will be held, organized by Takeuchi Lab (Univ. Tokyo) and jointly by Grant-in-Aid for Innovative Areas "Information physics of living matters" (IPB seminar series). The seminar will be given in Japanese. For the sake of security, please register on this page beforehand to participate in the seminar.


Speaker:
作道 直幸 氏 (東京大学工学系研究科)

Title:
高分子ゲルにおける負のエネルギー弾性

Abstract:
ゴムや高分子ゲルは、鎖状高分子の(永続的な)三次元網目構造からなるやわらかい物質である。この内、大量の溶媒を含むものを高分子ゲル、含まないものをゴムという。熱力学や統計力学の学部講義や教科書において、ゴムの弾性は熱力学第二法則に由来する「エントロピー的な力」の代表例として登場する [1,2]。現実のゴムの弾性において「エントロピー的な力」が支配的であることは、体積一定の条件下における、ずり弾性率(G)の絶対温度(T) 依存性の測定から確かめられる。なぜなら、熱力学の一般論から、エントロピー変化由来の弾性(エントロピー弾性)が、TG'(T)となるからである[1,3,4]。天然ゴムや合成ゴムにおいては、それらの弾性がほとんどエントロピー変化由来であることが実験的に確かめられている [3,4]。一方、高分子ゲルにおいては、実験的検証なしに、その弾性がエントロピー変化由来であると仮定して、ゴム弾性論が慣習的に使用されてきた [5]。

本研究は、高分子ゲルにおいて、この仮定が誤りであることを発見した [6]。高分子ゲルは、エントロピー弾性に加えて、内部エネルギー変化由来の「負のエネルギー弾性」を持ち、その合計で弾性が決まる。我々は、50種類以上の相異なる網目構造を持つゲルを作り分けたが、その全てに無視できないほど大きな負のエネルギー弾性が存在した。さらに、負のエネルギー弾性には、現象論的な支配法則があることも明らかになった。ゲルの含む溶媒を減らす(ゴムに近づける)と、負のエネルギー弾性はゼロに近づくため、ゴム弾性の実験結果とも整合的である。逆に言えば、溶媒由来の「負のエネルギー弾性」が、ゴム弾性とゲル弾性の本質的な違いである。セミナーでは、時間が許せば、ゲルの浸透圧における普遍法則 [7] についても軽く触れる。二つの研究 [6,7] を合わせると、高分子ゲルの「完全な熱力学関数」は比較的シンプルな構造を持つことがわかる。

[1] 前野昌弘『よくわかる熱力学』(東京図書, 2020) 10.5節
[2] 田崎晴明『統計力学1』(培風館, 2008) 5.6.4節
[3] 久保亮五『ゴム弾性論』(河出書房1947、裳華房1996)
[4] P.J.フローリ『高分子化学(上・下)』(丸善1955)
[5] 例えば、M. Zhong, et al., Science (2016)
  https://doi.org/10.1126/science.aag0184
[6] Yoshikawa, Sakumichi, Chung, Sakai, PRX (2021)
  https://doi.org/10.1103/PhysRevX.11.011045
[7] Yasuda, Sakumichi, Chung, Sakai, PRL (2020)
  https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.125.267801
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