抄録
歯科医療の本質は患者の咬合を整えることを通じてより良い生活を支え、健康に寄与することである。
歯科医療における顎関節への理解は未だ少なく、本来、顎関節と咬合はハンガーのフックと肩の部分のように一体の構造であるが、それに対する考慮は十分に検討されていない。
矯正治療は既存の咬合を大きく変化させる咬合再構成治療であるため、顎関節についてもその状態を随時確認し、異常が生じれば即座に正しい対処を行うべきである。
また、時代の進化に伴い最先端の機器による治療を行っていたとしても、人体の構造である以上この事実は変わらず、顎関節と咬合の知識は矯正治療に役立つ情報となる。
本講演では顎関節と咬合の関わりや顎関節症について理解を深め、日常診療において患者への接し方が変化するような機会となれば幸いである。
当日は顎関節の基礎から診断、リハビリの方法とマニピュレーションの方法、ソフトスプリントの相互実習までを行い、一日で私の15年分の知識をお伝えしたい。
P.G.I.福本卓真