「狩の使1:おぼろ月」の本文を読んで、下の問に答えなさい。
[1] むかし、男ありけり。その男、伊勢の国に狩の使に行きけるに、かの伊勢の斎宮なり( ア )人の親、「つねの使よりは、この(a)人よくいたはれ」と言ひやれり( イ )ば、親の言なりければ、いとねむごろにいたはり( ウ )。
[2] 朝には狩に出し立ててやり、夕さりはかへりつつ、そこに来させけり。かくて、ねむごろにいたつきけり。
[3] 二日といふ夜、男、われて「あはむ」と言ふ。女もはた、いとあはじとも思へらず。されど、人目しげければ、えあはず。使ざねとある人なれば、遠くも宿さず。女のねや近くありければ、女、(b)人をしづめて、子一つばかりに、男のもとに来たりけり。
[4] 男はた、寝られざりければ、外の方を見出してふせるに、月のおぼろなるに、小さき童を先に立てて(c)人立てり。
[5] 男、いとうれしくて、わが寝る所に率て入りて、子一つより丑三つまであるに、まだ何ごともかたらはぬにかヘりにけり。男、いとかなしくて、寝ずなりにけり。