2022年07月29日 15:10-16:40
報告者：朝山慎一郎（国立環境研究所）
論題： カーボンバジェットから見た気候工学の役割と課題：負債のメタファーによる批判的考察
場所： 神戸大学経済学部大会議室（本館2階）およびZoom
要旨： 気候変動問題における科学と政策を架橋する概念としてカーボンバジェットの有用性が指摘される。その概念的な基礎は地球物理学にある一方で、バジェットという金融メタファーはある特定の政策的含意を持つ。本発表では、カーボンバジェットを政策ツールとして用いる場合の一つの思考実験として、予算管理者から見た「気候工学」（二酸化炭素除去と太陽放射管理）の役割について批判的に考察する。バジェットの観点から見ると、気候工学は”財政赤字”を常態化させる手段となる危険があると捉えることができる。