第1回のドミニク・チェン『未来をつくる言葉』では、多様な人々がコミュニケーションすることについて理論的に考えました。コンピュータとインターネットが中心となった現在において、言語の問題や、世代継承の問題、環世界の構造など、GENERYSの活動を発展させていく上でさまざまなヒントが得られたと思います。そこで今回はより文学的な方面からコミュニケーションについて考えようと思います。
扱う作品は、短編小説の名手、堀江敏幸の『雪沼とその周辺』です。この小説では、架空の街「雪沼」での人々の交流が描かれます。収録された7つの小品は、それぞれが人生の側面を映し出します。温かいものや、悲しいもの、そうした感性にふれるなかで、出会いや別れの妙味を気づかせてくれる作品が揃っています。
今回は、小説の世界を通して、GENERYSの世代間交流の意味について考えていければ嬉しいです。