先日、東京と大阪でのワンマンライブを成功させたRUNG HYANG。その公演名と同じ名前を冠するこの最新EPは、自身の音楽活動のルーツとなるピアノ弾き語りを軸に制作された。 DRAMATIC SOUL、TOKYO CRITTERSなどでの活動を経てここ数年はビートやグルーヴを備えたR&B色の強い作風が中心となっていたが、そのスタイルを踏まえつつも、シンガー・ソングライターとしての原点回帰にして“古典”=CLASSICな作品に仕上がっている。
EPの幕開けとなるセルフ・プロデュースの「Trip」は “旅をするのに理由はいらない、行きたいと思った場所へ行こう”という思いが込められた楽曲。実際にRUNG HYANGは年初にヨーロッパを訪れており、現地の文化や伝統に触発されてクラシック音楽熱が再燃したことをきっかけに、このEP制作にあたってピアノやストリングスの音色を多く採用することになったが、力強いビートと流麗なストリングスが響くこの導入曲も “今のRUNG HYANG”のモードが色濃く表現されたものだ。
続く「RELIFE」は、共同アレンジャーを務めるShingo.Sのビート、砂山淳一のベースに乗せ、block.fmでのレギュラー番組『ルン子の部屋』に寄せられたリスナーの悩みに寄り添うメッセージを歌うアップナンバー。西野カナやヨルシカなど多くのアーティストを支えてきた村田泰子による弦アレンジも聴きどころだ。
3曲目の「Love Me」は大切な人への愛情が語られながらも、その想いの強さにバランスを崩しそうな危うさも仄めかされるラブバラード。その歌詞はまさにRUNG HYANGらしい世界だが、歌とピアノ、ストリングスだけで構成されており、繊細な冒険心によって成立した、アーティスト/プロデューサーとしての新たな顔を見せる楽曲となっている。
最後を飾るのは、4月10日に先行リリースされていた「グラデーション」。ひとつの夫婦がそれぞれの暮らしを重ね積み上げる営みの美しさを「曖昧だけど確かなグラデーション」に例えて讃える、暖かなラブソングだ。
なおRUNG HYANGは、代表曲「Trapped」とその新規リミックス「Trapped (Kan Sano Remix)」を収録した7インチシングルを6月19日(水)に発売予定で、ニューEPの発表も合わせて祝うリリースパーティーを6月29日に東京・南青山のBAROOMにて開催する。古典や第一級品といった意味のある「classic」という言葉は、口語では時代性に囚われない「最高」なものを評する際にもよく使われるが、6月29日はこのニューEPと7インチの魅力を間近で堪能できる「classic」な夜となりそうだ。