■講演内容:
昨今「スタートアップ」という言葉が流行語のようになって、新しい技術や発想をベースにしたベンチャー企業立ち上げ熱が高まっている。このことは日本の経済にとって、とても良いことと思っているが、ベンチャーを起業し、その後発展させ、さらに軌道に乗せていくことは容易なことではない。私自身も今から26年前に大手企業の課長職を捨てて、ベンチャーの道に入ったが、決して順風な道を歩んできた訳ではない。銀行預金残高があと1~2か月という危機を複数回経験した。それでも今、この業界で何とかやっている。そこには人生をかけるだけの何かが存在し、自分の仕事の成果を実感する毎日があるからだと思っている。今や健康保険高齢受給者証を頂ける年齢になったが、まだまだやらねばならないことがあると実感している。
本講演では、大手企業とベンチャーそれぞれで医薬品を開発してきた経験から、今こそ新規事業に挑戦する人材の育成がいかに大切かを語り、そのために必要な政策を提言したい。
■講師略歴:
1953年栃木県足利市生まれ。現在は東京都町田市に在住。1981年に東京大学薬学系大学院博士課程を修了後、協和発酵(現:協和キリン)に入社。その後17年間、研究所での新規遺伝子探索の研究、新研究テーマ探索の国内外リサーチを経て本社に転勤し、バイオベンチャーとのライセンス活動並びに社内研究テーマのマネジメントを経験した後、1998年に株式会社レクメドを設立し代表取締役に就任。レクメドでは、2000年に国内外のバイオスタートアップの支援の為に国内初のバイオベンチャーに特化したファンドを創設し、複数のバイオベンチャーをIPOに導いた。また、新薬の開発はアンメット医薬品に特化し、今までに2品希少疾病用医薬品を上市させた。その傍ら人材育成に力を注ぎ、横浜市立大学、東京工業大学等複数の大学において継続的にベンチャー起業の演習を行い、JBAバイオリーダーズ研修では2009年設立から今日までチーフファシリテーターを務め、400名近い修了生を世に送り出した。好きな言葉は、「傀(かい)より始めよ」。