日時:2024年1月22日(月)13:00 ~
場所:ハイブリット開催(6F第一会議室 & Zoom配信)
Zoom URLは本参加登録後にe-mailにてお知らせ致します。
講師:宮脇淳 氏
所属:量子科学技術研究開発機構, 次世代放射光施設整備開発センター, 主任研究員
題目:NanoTerasu 超高分解能軟X線RIXSで挑む物性研究
概要:2024年4月から運用が開始されるナノテラスでは、10本のビームライン(共用BL: 3本、コアリションBL: 7本)が建設・立ち上げ中で、超高分解能 共鳴非弾性軟X線散乱(RIXS)装置は共用BLの1本として設置される。RIXSは、物質に共鳴条件でX線を照射し、散乱X線のエネルギーを計測して入射エネルギーとの差を求めることで、低エネルギー励起のエネルギーと運度量の分散関係を得ることができる分光手法である。固体には、電荷、軌道、スピン、格子の自由度があるが、RIXSはこれら全ての励起を観測することができ、物性研究には非常に適した手法である。ただし、目的の励起を観測するためには高いエネルギー分解能が必要であり、近年、Cu
L-edgeで50 meVを切る装置が開発され、RIXSの真価を発揮しつつある[1,2]。NanoTerasuのRIXS装置では、分解能10 meVという目標を掲げて、長らく設計、開発、建設を行ってきた[3]。2024年1月時点で、建設がおおむね完了し、4月からの試験的共用を経て、2024年度末の共用開始に向けて立ち上げ・調整を進めている。セミナーでは、ビームライン、RIXS分光器の概要と建設状況について紹介し、利用研究に対する展望についても述べる。