■ 講師:黒瀬雅志、弁理士 黒瀬IPマネジメント代表
■ 講演内容:AECの発足、CPTPP、RCEPの発効などによりASEAN域内の経済活動がより拡大している。またASEANで進行するデジタル革命は、ITを活用した多くのスタートアップを生み出し、さらにシンガポール、インドネシアなどでは日本を上回る勢いでユニコーンを誕生させている。その一方でタイ、マレーシアなどでは中進国の罠の問題が課題となっており、自律的なイノベーションの重要性が認識されている。温度差はあるが、ASEAN主要6ヵ国は知的財産制度(とりわけ特許制度)の整備・強化に動き始めた。さらにACFTA(ASEANー中国自由貿易協定)発効以降活発化した、中国のASEAN投資はRCEPを機にさらに拡大しており、この動きに呼応して中国とASEAN各国との知的財産協力関係も進展している。本講演では、ASEANにおいて大きな存在感を示していた日本が、従来型のビジネスモデルの変革を迫られていることを知的財産の視点でお話しします。
■ 講師略歴:1977年弁理士登録。中国をはじめアジア各国の知的財産庁、裁判所、行政機関などを訪問し、知的財産制度の運用の現状を把握すると共に、アジア諸国における知的財産紛争に関し日本企業への法的アドバイスを行っている。現在、一橋大学大学院法学研究科(ビジネスロー専攻)で非常勤講師を務めると共に、日本ライセンス協会(LES)監事、アジア弁理士協会(APAA)国際理事、日本弁理士会・国際活動センター委員などを担当している。主な著書として「アジア知的財産戦略」(ダイヤモンド社)、「はじめての海外模倣対策ハンドブック」(JETRO)、「アジア諸国の知的財産制度」(共著:青林書院)、「中国知的財産権判例評釈」(共著:日本機械輸出組合)、「ロシア知的財産制度と実務」(編著:経済産業調査会)などがある。